【将棋】「矢倉は終わった」は本当なのか?

将棋
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個人的には今も採用してますけど…

矢倉は将棋の純文学である

米長邦雄永世棋聖の言葉で、聞いたことがある方も多いと思います。
現実に矢倉の将棋がたくさん指されていた時代もあり、ごもっともと言われていた時代もあったそうです。

ですが、最近は矢倉の将棋はあまり見かけません。
全く見ないとまでは言わないものの、角換わりや相掛かりの将棋に比べると少ないと言えます。

矢倉は終わった

という言葉もありますが、本当なのでしょうか?
最新定跡に疎い僕ではありますが、自分なりに考えを残そうと思います。

矢倉はこんな感じで変わっていきました

まずはこちらをご覧下さい。

普通の矢倉を目指す図
矢倉を目指す図は▲6六歩まで

初手から
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩

と進んだ局面です。
今では5手目はほぼ確実に▲7七銀なのですが、少し前まではほとんどのケースで▲6六歩と指されていました。
▲6六歩のほうが矢倉中飛車に対して中央が厚く、対応しやすい。
などの理由があるからです。

ところが▲6六歩をとがめる後手の指し方が発見されました。
それが「左美濃急戦」という戦法です。

左美濃急戦
左美濃急戦の図は▲6九玉まで

図は先手が普通に組んだ場合の一例です。
僕たちアマチュアからするとまだまだこれからの将棋ですが、プロの世界ではここから

・すぐに△6五歩と攻める
・△6五歩を含みに駒組みを進める

といった指し方で「後手のほうが面白い」と言われています。
最近は主導権を握ることが重要視されているので、先手としては不満のようです。

その結果、

早く▲6六歩と突くと△6五歩の争点ができるのが不満

という理由で、昔に流行っていた5手目▲7七銀という指し方が復活しました。

5手目▲7七銀が復活
図は▲7七銀まで

現在、矢倉を目指すときは、この出だしが多いです。
そこから△6二銀▲2六歩△4二銀▲2五歩と進み、下図となります。

現代矢倉は飛車先の歩を伸ばす
先手の対策の図は▲2五歩まで

図で△3三銀と受けるのが普通で、そこから緩やかな矢倉になった実戦もたくさんあります。
先手としてはじっくりとした将棋となれば、満足です。

ですが最近は△4二銀のところで△3二金と指し、飛車先を受けない将棋も増えています。
角道を通したままで駒組みを行い、あくまでも攻めを見せる。
善悪は微妙ですが、後手はこの形でも先攻を目指しています。

さらにあくまでも主導権を握りたい後手は、下図のような出だしのときもあります。

すでに矢倉とは言いづらい出だし
現代矢倉の1つの図は△7四歩まで

先手の▲7七銀に対して△6二銀ではなく、△7四歩と突いた局面です。
最初に見たときは、本当にビックリしました。
もちろんここからじっくりとした将棋になる可能性もありますが、後手は7三桂と早めに跳ねてきたり、玉を5二に上がったり…
出だしは矢倉模様ですが、その後の進行は従来の矢倉の将棋とは大きく異なることが増えました。

そういった意味を踏まえると、「矢倉は終わった」は言いませんが、

以前のじっくりと指す矢倉はあまり見かけないかも…

というのが今の僕の考えです。

まとめ

今回のまとめは

1 よく指されていた5手目▲6六歩をとがめる「左美濃急戦」が流行し、▲6六歩は下火に
2 5手目▲7七銀で持久戦を目指すも、後手はあくまでも急戦を狙ってくる
3 後手急戦を成功させるべく、矢倉とは言いづらい将棋が増えた

といったところです。
こういったやりとりを見ると、プロの一手に対する重みを痛感します。

ですがこれはプロや高段者のお話。
初心者や初級者の方は、矢倉囲いでじっくりと固めた将棋はやはり勝ちやすいと思います。
僕も後手番を持ったときは、じっくりとした矢倉を指していますから。

今回はあくまでも「定跡に疎い」アマチュア四段が書いた記事です。
ですので大まかな全体像だけでも理解して頂けたら幸いです。

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