駒落ち将棋には将棋の考え方が詰まっています
最近は「観る将」の方も増え、実際に将棋を指してみようと思う方が増えているようです。
その際に回りに「将棋がある程度指せる方」がいると話が早いのですが、現実にはいないというケースも多々あります。
その際には
「ぴよ将棋で将棋を指す」
ということをおすすめしているのですが、要領がよくわからない…
というケースも。
そこで今回は駒落ちの
「十枚落ちの実戦」
を題材にして、将棋の考え方を紹介したいと思います。
将棋の考え方、教えます
まず十枚落ちとは
上手が自分の飛車・角・香車2枚・桂馬2枚・銀2枚・金2枚を落とす
指し方です。
かなり大きなハンデなのですが、初心者の方の場合、初段の方と指すときはまずはこれくらいの手合いがいいと思います。
それではここからは具体的な指し手を。
初手からの指し手
△4二玉 ▲7六歩(第1図)
十枚落ちの場合、ほとんどの上手の方は初手△4二玉と指してきますが、他の手を指してきたとしても本譜と同じく「▲7六歩」で問題ありません。
この▲7六歩が肝心な一手で、意味としては
まずは大駒を使う
という基本に従った一手です。
同じ意味で▲2六歩から飛車を使おうとするのも正しい意味で、正解です。
ここではわかりやすく、まずは角を使う指し方を。
第1図以下の指し手
△5四歩 ▲6六角 △9四歩 ▲9三角成(第2図)
下手の▲6六角で角を成れることが確定しましたが、上手はわかっていても受ける手がありません。
そして本譜も角を成ることができました。
大駒を成る
これは味方の駒の性能を上げるという、重要な考え方。
飛車や角を成れるように、常に心がけましょう。
第2図以下の指し手
△5三玉 ▲8三馬 △6二玉 ▲7五歩
△5三玉 ▲7八飛(第3図)
上手は△5三玉と丈夫に上がってきます。
これは駒落ち上手の常套手段で、これに惑わされる人は僕を含め、たくさんいます。
ですが今回の場合は普通に▲8三馬と歩を取り、駒得を果たします。
駒得をする
これは味方の戦力が増えるので、戦いを有利に進められる考え方。
駒を取れる状況に出会ったら、まずは取る手から考えましょう。
次に▲7三馬と歩を取られるのは嫌だと△6二玉と頑張りますが、そこで▲7五歩~▲7八飛と眠っていた飛車を使うのが好手。
馬1枚では上手玉を捕まえることはできないので、攻め駒を増やす手です。
第3図以下の指し手
△3四歩 ▲7四歩 △同歩 ▲同飛
△7六歩 ▲同飛 △9五歩 ▲7二飛成(第4図)
上手は△3四歩と紛れを求めてきますが、▲7四歩と飛車を使おうとする手も好手。
「△7四同歩で歩を取られるのが怖い」
という声もよく聞きますが、今回の場合は▲7四同飛と歩を取り返せるので、駒損はしていません。
今回の手順は
歩の交換
という手で、同時に飛車を使える手でもあります。
上手は△7六歩と怪しい手を放ってきましたが、十枚落ちの手合いを考えると取った方が安全です。
駒落ち将棋ではこういった罠を上手はどんどん仕掛けてくるので、ご注意を。
そして△9五歩には▲7二飛成と、こちらも成ることができました。
攻め駒が2枚になったので、あとはどうやって上手玉を捕まえるか、です。
第4図以下の指し手
△2四歩 ▲7三馬 △4四玉 ▲6三馬
△1四歩 ▲5二龍 △3三玉 ▲5四馬
△2三玉 ▲4三馬 △2五歩 ▲3二龍
△1三玉 ▲3四馬 △2六歩(第5図)
ここまで来ると上手はどうしようもないので、上手は玉をどんどん逃げます。
下手は龍と馬を協力させ(これが肝心です)、▲3四馬とついにあと一歩まで追い詰めました。
第5図以下の指し手
▲2三馬(第6図) まで下手の勝ち
第5図の△2六歩は上手の最後の頑張りです。
これにも▲同歩と取るのが手堅いですが、ここでは▲2三馬という1手詰みがありました。
これで下手の勝ちです。
この1局は下手の勝利で終わりましたが、上手は今回紹介していない怪しい手を放ってくるかもしれません。
そのときも今回紹介した考え方を思い出してもらえれば、十分に勝負になると思います。
まとめ
今回のまとめは
・大駒を使う
・大駒を成る
・駒得を狙う
・2枚以上の攻め駒で相手玉を追い詰める
です。
1回で理解するのは難しいと思いますが、ここで紹介した考えを常に頭に入れておいてください。
繰り返していくうちに、上達への近道になっていると思います。
このシリーズは続編も掲載予定です。
ぜひご一読ください。
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